セミナー全体の第一印象となる受付は、参加者の受付処理以外にも案内や管理という役割を担っています。
これらをどれだけ手際よく臨機応変に受付スタッフが対応できるかが円滑なセミナー運営のカギとなります。
ここでは、セミナーを運営するうえで知っておきたい受付の仕事内容と注意点、また、セミナー当日までにすべきことについてお伝えします。
1.セミナーの受付の役割
セミナーを企画しようと考える人は、誰もが来場者を受け付ける「受付」が必要ということは理解していると思います。
しかしながら、この誰もが知っている「受付」だからこそ、主催者やセミナーによって差が生まれてくるのも事実です。
実際、「受付」に求められる役割や期待値はどのようなものがあるのでしょうか。
▼セミナーの第一印象を形成する
まず、「受付」はセミナー全体の第一印象を形成する役割があります。
第一印象の重要性は心理学者のソロモン・アッシュ氏が初頭効果という言葉で提唱しています。
初頭効果とは、第一印象で得た情報がその後の評価にも影響しやすいという現象を指したものです。
セミナーにおいては、参加者とセミナーの最初の接点のほとんどが「受付」となるため、ここが参加者の第一印象を形成すると言っても過言ではありません。
では、「受付」においてどのようなことが第一印象の判断材料になるのでしょうか。
それは、受付の接客とその演出です。受付の接客では基本的なことを押さえることはマストです。
受付にいるスタッフ全員が、参加者に対して明るく、手際よく、丁寧に受け答えできることはセミナー全体への好感度につながります。
また、受付の演出においては「安心」「特別」「誠実」「信頼」「感動」といったプラスの感情に結びつく訴求をすることが参加者の好感度につながります。
特にVIPのような、主催者にとって重要なお客さまが来場される際は、航空機の搭乗時のようにサービス内容や受付時刻を分けることも1つの手でしょう。
サービスについては、VIP扱いの参加者に待合室やラウンジでのドリンク・軽食の用意をするといった演出を行うと「特別」感を演出でき、更にロイヤリティが高まることが期待できます。
最近の例では、新型コロナウイルス感染症対策として、検温やアルコール消毒液をただ設置するだけでなく、体系立ててしっかりとした対策体制をとることで、参加者に「安心」感を提供することが求められています。
▼セミナーの注意事項を伝える
他に「受付」の役割として大切となってくるのが、セミナーへ参加する際の注意事項を含めた案内をすることです。
例えば、受付時に手渡す参加者証を首から下げることや携帯電話をマナーモードに設定すること、いつまでに着席しておいてほしいか等、そのセミナーで参加者に求めたい注意事項を漏れなく伝えることは必須となります。
オンラインセミナーの場合、受付の実務はなくなりますが、同様の情報をセミナー開始前に必ずアナウンスすることや、参加者が聞こえているか音声確認・マイクテスト等を行うとスムーズに開始できるでしょう。
▼セミナー全体の進行を把握し、一次対応をする
他に大事なことはセミナー全体の進行を把握し、一次対応をする役割です。
参加者が困ったとき一番聞きやすい立場なのが「受付」のスタッフです。
「受付」のスタッフはお手洗いや喫煙所の場所を聞かれることはもちろんのこと、セミナーの内容についても聞かれる場合がありますので、きちんと回答できるよう、セミナーの基本情報(セミナー概要やタイムスケジュール、会場内マップ等)や受付マニュアルを押さえておくことは必須です。
ただし、すべての情報を出せない場合はどこまでの情報を出して良いか事前に決めてマニュアルに落とし込んでおきましょう。
他にも、お手洗いや喫煙所の場所、遅れてきた参加者の対応、気分の優れない参加者の対応、迷子案内、車椅子での参加等、参加者からのあらゆる質問に対する対応策を想定しておきましょう。
▼参加者情報の管理をする
他にも参加者の情報を管理する役割も担っています。
セミナーで参加者の名前や人数を管理するのは営業的観点での管理や緊急時の対応だけでなく、セミナーに不審者や危険人物を入れないための防衛策にもなります。
そのために、申込者名簿にない方の対応マニュアルの準備はもちろんのこと、BtoBのセミナーであれば名刺を出していただくという策もあります。
トラブルを未然に防ぐためやセミナーの安全と品位を担保するうえでも、参加者の情報の管理と対応は厳重に行うことが求められます。
※過去のケースでは某有名企業の社員と名乗り、名刺も自作して潜入してきた参加者もいましたので細心の注意が必要です
2.セミナーの受付の仕事内容
セミナーの受付の仕事内容は煩雑なことが多いので、抜けや漏れがないように準備すべきことを全て洗い出してリスト化し、スタッフ間で分担するないしは専門の業者へ外注して準備を進めることをオススメします。
【セミナー当日まで】
- 筆記用具(受付での記入用と参加者への貸し出し用)
- 配布資料(パンフレット、チラシ、会場の案内図、アンケート用紙)
- 配布資料を持ち運ぶ手提げ袋
- パスホルダー(参加者が会場内を移動する際に必要な場合)
- 名刺入れ(参加者から名刺を頂く場合)
- 釣銭(セミナー当日に受講料の現金払いがある場合)
- 参加者受付名簿またはイベント管理システム
- 受付マニュアルの作成
最低でも上記を押さえておく必要があります。
最後から2番目の項目「イベント管理システム」とは、セミナー等イベントの開催に必要な機能が1つに集約されたシステムのことです。
「イベント管理システム」を使うことで、QRコードを用いて参加者の出欠記録が容易に行えるようになるほか、有料セミナーの参加費の決済を「イベント管理システム」内で完結できることなどがメリットです。
さらには、厳重に管理しなければならない参加者の個人情報についても、システムを用いることで漏洩リスクが格段に下がります。
ただし、受付を「イベント管理システム」で管理する場合は、パソコン等の端末とインターネット環境の整備(Wi-Fi等)が必要となるほか、参加者もスマートフォンを持参するか申込時のQRコードを印刷してくることが必要となってきます。
■ 関連記事:本当に役立つイベント管理システムとは?|イベント管理システム・ツールの機能と選ぶ上でのポイント・注意点
最後の「受付マニュアルの作成」とは基本的な受付仕事をはじめ、参加者からの想定問答集、非常時の避難誘導等、受付における対処法をまとめたものです。
様々なことを臨機応変に対応することが求められる受付は、受付マニュアルがあることで、受付仕事が可視化されて仕事が覚えやすくなることがメリットです。
なお、受付マニュアルで対応しきれないことが生じた場合に、確認をする責任者の名前と連絡先を受付マニュアルに記載しておくとより安心です。
【セミナー当日】
- 受付名簿の照合及び参加者の本人確認
- 配布資料の配布
- 参加者対応(案内、質疑応答等)
- 参加者の管理(受付に来ていない人の把握等)
- セミナー全体の管理(非常時の誘導等)
セミナー当日は今まで準備してきた事項をもとに、上記の内容を対応していくことになります。
3.セミナーの受付で意識すること
円滑に受付をするために受付スタッフとして意識することは、主に「丁寧さ」「手際の良さ」「事前準備」の3つです。
<丁寧さ>
丁寧さを心がけることはセミナーの第一印象を形作る上でも最も重要です。
これには受付マニュアル通りに、やるべきことを丁寧に行うという意味が込められています。
そのため、配置するスタッフについても受付スタッフとしての資質があるかどうかを意識して配置すると良いでしょう。
マニュアルどおり丁寧に対応する人であることはもちろんのこと、言葉使いや表情に好感が持てるかは重要な指標になります。
<手際の良さ>
2つ目は、手際よく対応することです。丁寧さに加えて手際よく対応することも心がけましょう。
なぜなら、参加者が多いセミナーの場合は1人の参加者に時間をかけすぎると他の参加者を困らせたりイライラさせてしまう原因となります。
そのため、受付スタッフとして配置する人が手際良い対応ができることもちろんのこと、イベント管理システム等を用いることで物理的に工数を減らし対応スピードを高めることも検討すると良いでしょう。
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<事前準備>
3つ目は、事前準備をしておくことです。
受付でやるべきことを可視化しマニュアルとして落とし込んでおかなければ、セミナー当日、受付スタッフは作業に手間取って参加者を待たせてしまったり、誤った案内をしてしまう可能性があります。
丁寧で素早い対応は、やるべきことをしっかり理解しているからこそ、できることです。
運営側は受付マニュアルをセミナー前に配布して、受付スタッフとして対応する人が予習できる時間を設けることも意識しましょう。
■ 関連記事:イベント受付の重要性|イベント準備・当日受付の役割とポイント
4.セミナーの受付で必ず統一するべきこと
セミナーの受付において、必ず統一を図ったほうがいいことがあります。
1つ目は、服装の統一です。
これは受付に限ったことではないですが、服装の統一がなされていないと誰がスタッフなのか不明確になり、結果的に参加者が混乱してしまうことになります。
服装を統一しましょうというと、「スーツで統一したら良いのでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、ビジネスセミナーの場合は参加者もスーツで来る方が多いです。
そのため、腕章やネックストラップで統一をしたり、場合によっては専用のTシャツ等を用いることでスタッフであることを示す工夫が必要です。
他にも、予算があればスタッフ統一のピンバッジやグッズを身に着けることで、スタッフ間の士気高揚も同時に狙うことができるでしょう。
2つ目は、緊急時の対応方法のマニュアル化です。
受付を含めた運営側のスムーズな連携が、参加者を混乱させないだけでなく参加者の命を助けることにもつながります。
セミナー中に参加者が倒れた際の救急車の呼び方、AEDの位置や使い方、火事や地震、事件が起きた際の対応方法を確認してマニュアルに落とし込んでおきましょう。
5.受付はセミナーの「顔」
受付にはセミナーの第一印象の形成、参加者の案内や緊急時の対応等、求められることは多岐に渡ります。
そして、受付の行動がセミナーの印象を左右するので重要なポジションです。
自社の社員で賄う場合は、セミナー前から打ち合わせを重ねて理解を深めていくなどの方法がありますが、派遣会社から受付スタッフを依頼する場合は、受付の経験がある人材を手配してもらいたいと伝えることがセミナーの受付で失敗しないうえで重要になります。
ただし、派遣会社の場合は依頼する金額に応じて自社が求めるスキルを保有したスタッフを派遣してもらえない場合もありますので注意が必要です。
そのため、外注前提でスキルの高い人材を必ず用意したい場合はセミナーの運営に長けた運営会社に相談することもオススメです。
きめ細やかな気遣いと接客スキルを持つ人材を派遣してくれるか否かは、運営会社と派遣会社には雲泥の差があります。
そうはいっても、どの会社に依頼したら良いか悩む場合はEvent Bundleにご相談ください。
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もちろん、受付スタッフにおいても例外ではありません。
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また、Event BundleではQRコードで参加者の情報を管理できるイベント管理システムの提供も行っています。
受付の手続きがQRコードを読み取るだけで完了するので、受付スタッフの負担が軽減されます。
こちらは無料で利用できるので、セミナーの参加者情報管理にぜひご利用ください。
その他、セミナーに関する些細な疑問・質問がありましたら、下記からお気軽にお問い合わせください。お待ちしております。