自社商品・サービスのプロモーションに効果的な展示会。
しかしながら、出展してみたものの思ったように集客できなかった、集客はできたけれども売上に繋がらなかった、というお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
ここでは大小問わず年間30本近く展示会に出展し、展示会1回の受注金額前年比300%超達成を実現した方法をもとに、展示会に関するノウハウとポイントをお伝えします。
1.展示会出展を成功させる重要な要素
展示会出展で成果へ繋げるために必要な要素をご存知でしょうか。
このように聞くと多くの方が「当日の来場者に対する声がけ」や「ブースやチラシのデザイン」等と答えますが、
実は「どの展示会に出るか?」「展示会のどの場所に出るか?」が最も重要であり、ここで勝負は半分決まっていると言っても過言ではありません。
当然来場者への声がけやブースデザインも重要な要素ではありますが、これらを考える前にある程度結果が見えているという話です。
▼どの展示会に出るか?
どの展示会に出るかについては当たり前だと思われた方も多いと思いますが、
そもそもどの展示会が自社にとって良い(受注につながる)展示会であるか考えたことはありますか。
IT系システムを販売しているからIT系の展示会に出る、営業のコンサルティングをしているから営業支援系の展示会に出る、このように考えて出展する展示会を決めていませんか。
もちろん、こういった決め方がすべて悪いと言うつもりはありませんが、実はここが既に展示会出展の成功失敗の分かれ道となっています。
自社の売上向上を目的とした際の展示会検討ポイントは、
- 商談目的が強い展示会か?
- 自社の商品・サービスを検討し導入頂けるターゲットが実際に来場する展示会か?
という部分です。
「商談目的が強い展示会か?」ですが、日本国内で開催されている展示会は見本市的な要素の強いものが多く、来場者も商談目的で来ていないケースがあるからです。
そうなると来場者にいくら声をかけようとも商談に繋がらず、結果的に売上にも繋がらないという悲惨な結果となってしまいます。
長期的な目線でPRするだけだからと割り切っている場合を除いて、短期的な結果を求める場合は商談目的が強い展示会に出展することをオススメします。
「自社の商品・サービスを検討し導入頂けるターゲットが実際に来場する展示会か?」については当たり前のように思えますが、ここも重要ポイントです。
要は「決裁者が来るか?」という部分になります。
例えば営業のコンサルティング会社で普段は企業の経営層や部門長に営業を働きかけている場合、営業部門の一般社員ばかりが集まる場には価値を感じないことでしょう。
しかしながら、展示会となると「営業系」というだけで出展を決めてしまい、蓋を開けてみたら営業部門の一般社員ばかりが集まっていて商談に繋がらない、ということが簡単に起きてしまいます。
そのため、事前にターゲットが集まる展示会なのかを調査し、その結果をもって出展するかを決めることをオススメします。
▼展示会のどの場所に出るか?
出展する展示会が決まれば、あとはブースの場所選定です。
場所については小間数や出展予算である程度決まってしまうのが実情ではありますが、その中でも良い場所を選定することに注力しましょう。
具体的には、
- メイン通路に面した場所
- 展示会の来場者受付からブースまでの導線が良い場所
- 集客力のあるコンテンツ付近(セミナー会場や集客力のある企業の付近)
この3つをすべてクリアしている場所がベストな場所と言えます。
来場者受付からブースまでの導線が良い場所については、例えば展示会主催者が用意しているドリンク引換所やトイレまでの導線も当てはまります。
つまり人が通りやすい位置にブースを構えるということです。
とはいえ、これら好条件の場所は予算のある企業の予約が既に入っていたり、そもそも5小間以上という制限がかかっていたりするものです。
(参考:1小間出展費=400,000円~1,000,000円)
予算がない場合はどれかを妥協して場所を選ぶことになりますが、ブースデザインや当日の運営等の工夫次第で多少カバーできますので、まずは現状で選べる最上の場所を選択しましょう。
その他、展示会会場そのものの柱の場所も確認しておくことをオススメします。
過去にあったケースではブースの目の前に柱があり来場者が避けてしまう、ブースの中に柱があり物を置けない、という悲惨な状況もありました。
展示会主催者が持つ図面上では確認しづらい場合もありますので、障害物がないか等の確認は緻密に行いましょう。
2.展示会の目標設定
出展が決まれば次に行わなければならないのが目標設定です。
こちらは検討段階である程度シミュレーションをし、出展決定と同時に決まっているのが理想ですが、決まっていない場合は即座に決めましょう。
目標の決め方は単純明快です。
KGI(Key Goal Indicator)を受注数または受注金額に置いたときに、追うべき重要指標、いわゆるKPI(Key Performance Indicator)の数値を想定される来場者数と転換率に合わせて設定します。
ここで設定するKPIは、主に下の3つです。
- 獲得リード数
- 有効リード数(※営業の対象となるリード数)
- 獲得商談数
例えば来場者数が10,000名の展示会で、受注数10件を目指すとすると・・・
【来場者数】10,000名
【獲得リード数】700リード(転換率7.0%)
【有効リード数】400リード(転換率57.1%)
【獲得商談数】50商談(転換率12.5%)
【受注数】10受注(転換率20%)
このような数値感になります。
来場者数と受注数はコントロール効きにくい部分になりますので、追うべき指標は必ずコントロールが効く部分で設定しましょう。
また、転換率は自社の過去の数値を参考にしたいところですが、初めて出展する際は一旦その業界の一般的な転換率に当てはめ、調整してください。
例として出した上記の転換率も参考にしてみてください。
3.展示会で成功する企業がブースデザインで注力するポイント
さて、出展する展示会と目標数が決まれば、次に取り掛かるべきはブースデザインです。
ブースデザインとはブースそのものの形状や色等もそうですが、ここではコピーライティングや物の配置(レイアウト)、運営人員の配置も含んでいます。
ブースデザインとなると、よく専門外だからと言って一般的なデザイン会社や展示会施工会社に丸投げをする方がいますが、これでは高い確率で失敗します。
なぜならビジネス感覚のない一般的なデザイン会社に依頼をしてしまうと、単にカッコイイブースが出来上がってしまうからです。
大事なのは「売上に繋がるデザインになっているか?」です。
もちろんカッコイイに越したことはないのですが、売上に繋がる設計のもと作られたブースと、そうでないブースとでは天と地ほどの開きがあります。。
これはコピーライティングひとつ取っても異なります。
例えば、あなたがマーケティング部門の部門長だとしてWebマーケティングの強化をしたいと考えているとします。
その場合、次のAとBのうちどちらのコピーが刺さりますでしょうか。
A. 「Webマーケティングのオールインワンツール」
B. 「コンサルとツールでWebサイトの集客力が上がる○○」※○○部分はサービス名
おそらくBのコピーが刺さるのではないでしょうか。
Bのほうが具体的で集客力向上の期待が持てますが、Aはこれだけでは何のことか分からないと思います。
このコピーはある会社が実際に展示会で用いていたコピーで、その方によると「Webマーケティングのオールインワンツール」というフレーズが商談時のクロージングで刺さっていたから用いたとのことでしたが、展示会に来る人の状態は商談時のものとは異なっていて刺さらなかったと話していました。
このように営業視点で展示会の場を知らないデザイン会社や施工会社に依頼してしまうと、効果の薄いブースデザインとなってしまうのです。
4.効果的な展示会ブースデザイン・レイアウト
ここからはブースデザインに関して項目ごとに押さえるべきポイントを解説していきます。
前提として大事なのは、AIDAの法則を意識してデザイン、設計することです。
AIDAの法則とはAttention(注意喚起)・Interest(興味喚起)・Desire(欲求喚起)・Action(行動喚起)の頭文字を取ったもので、西暦1900年、アメリカの広告研究家だったセント・エルモ・ルイス氏が提唱した概念です。
数ある法則の中でも大変古い法則ではあるのですが、シンプルで現代でも通用する法則のため、慣れないうちはこちらを参考にブース全体を設計することをオススメします。
もう少し噛み砕いて説明すると、以下の部分を意識して設計しましょうという話です。
Attention(注意喚起):お客さまがブースに気づくか?
Interest(興味喚起):気づいたお客さまに興味を持ってもらえるか?
Desire(欲求喚起):話を聞いてみたいと思ってもらえるか?
Action(行動喚起):ブース内に入って話を聞く仕掛けはあるか? ※声がけでもOK
前提が分かった上で、ここから項目ごとに解説していきます。
▼造作(ブースの形状):Attention
ブースの造作は一見してAttentionとは関係ないように感じるかもしれませんが、ここがとても重要です。
なぜなら、いくら引きのあるコピーを書いたところで来場者に見てもらえなければ意味がなく、見てもらえるかどうかはこの造作にかかっているからです。
意識するべきポイントは、概ね以下の4つです。
- メイン通路から目立つ設計になっているか?
- 通路のどの方面から見てもコピーが見える設計になっているか?
- 周りのブースに埋もれてないか?
- 開放感はあるか?
これらを意識して造作をしていくことになります。
実際にはこのあと解説する音響や照明などの配置等の兼ね合いや物理的に施工できるかを見て造作を決めていきますが、上記の4つを常に意識して設計していきましょう。
▼壁面やカーペットの素材:Attention
造作を決める際に並行して決めていきたいのが壁面やカーペットの素材になります。
この部分は素材によって費用が天と地ほど変わる部分ですので、本来の目的を担保しつつ予算に最適な素材を選ぶようにしましょう。
壁面の場合、木工で製作するかターポリン等の布を用いた製作をオススメします。
木工の場合は自由度が大変高いというのがメリットですが、使い回しができないことがデメリットです。
また、ターポリンを張るのは簡単ですが、木工の場合は施工人件費(大工さんのような職人の人件費)がかかりますので割高になります。
※注)SDGsの観点から規制対象となっている国があります
逆に費用を抑えたい場合はオクタノルムシステムを使うことになりますが、造作の自由度が低くなるデメリットがあります。
※基本的にオクタノルムシステムは、レンタル品のため汚れ等がありブランディングには向きません
この他にも細かい点が山程あり、その解説は割愛しますが、このあたりの知識を持っておくことでデザイン会社と対等に会話できるようになり、費用削減や代替手段のディスカッションが可能となります。
▼モニター・音響・照明:Attention
こちらも造作を決める際に同時並行で進めたほうが良いポイントになります。
モニターで流す映像や光の演出は視覚以外でAttentionを取るのに効果的です。
そのため、どこにモニターを設置するのか、照明の光量はどうするのか等を決めていきましょう。
細かい話ではありますが、費用削減で照明の量を少なくしている企業が大半のため、逆に光量を多くすることで目立つことができます。
また、モニターにも種類があるので目的に応じて選定しましょう。
例えば最も廉価なのは液晶モニターになりますし、光量を多くしてより遠くまで訴求したい場合や屋外の場合はLEDモニターになります。
▼映像:Attention・Interest
モニターを設置することが決まったら、どのような映像を流すかが重要になります。
このモニターの設置場所にもよりますが、Attention目的で設置した場合は映像についてもAttentionに繋がる映像を流すことにしましょう。
このとき商品説明や顧客インタビュー映像を流す会社がありますが、これは全く意味がありません。
なぜなら人は約3秒で必要か不必要かを判断するため、Attentionを取る意味合いでこれら映像を流しても立ち止まってくれないからです。
そのため、展示会専用の映像を制作するか、既にCM等の素材があればそちらを使用することをオススメします。
▼コピーライティング:Attention・Interest・Desire・Action
コピーライティングは来場者へAttentionを取り、ブースまで引き込むまでの過程において最も重要であると言っても過言ではありません。
先でも解説しましたが、何をどこに記載するかで展示会の成果はまるっきり変わってきます。
よくコピーを考える際に商談の内容を参考にすることがありますが、Attentionを取るためのコピーを制作する場合はまったく参考にならないと考えても良いでしょう。
なぜなら、お客さまは商談の場では「その会社の話を聞く前提」でいるのに対し、展示会の場では「様々な情報を探している前提」であるからです。
このようにお客さまの状態が異なるため、その状態を理解した上でコピーを考える必要がります。
そこで、Attentionのコピーを考える上で参考にしたいのが、Web広告です。
Web広告では表示された際のお客さまの状態が展示会に似通っているのと、クリック率等効果計測しやすい媒体のため参考にしやすいです。
Attentionのコピーの制作ができたら、次に読んでもらいたいInterest・Desire・Action部分のコピーを作成しましょう。
スペース的に入れ込むのが難しければ、どれかを省いてしまっても問題ありません。
その場合はチラシへの記載や声がけのメッセージにも反映する必要があることを忘れないでください。
▼レイアウト:Interest・Desire・Action
レイアウトも重要なポイントです。
なぜなら、このレイアウトによってブース内に入りやすい、入りにくいが決まってくるからです。
人はブースへ入るときにひとつ心理的ハードルがあると言われています。
そのため理想なのは「気づいたらブース内に入っていた」ということを演出させるようなレイアウトにすることです。
物をどのように置くかで参考になるのはデパートやショッピングモールにあるアパレル等のショップです。
特にアパレルショップは物の配置、レイアウトに長けており、ショップ店員の存在がかき消されるような仕掛けをしているところもあるくらいです。
このようにレイアウトを工夫し、ブース内に入りやすい設計や導線を検討していきましょう。
▼その他
その他、運営観点で小間のサイズ的に問題なさそうであれば控室も作りましょう。
控室には運営メンバーの荷物を置くスペース、チラシや袋等の保管、名刺やIT機器の管理で使用できるように設計しましょう。
特に名刺の管理は営業資産の観点・個人情報保護の観点からも重要ですので、集計場所も含めて煩雑にならないように控室も設計することが望ましいです。
もし、Sansan等の名刺管理サービスを会社で取り入れている場合は控室で読み込めるよう体制を組んでおくと便利です。
5.ブースデザイン施工会社の選定・付き合い方
ここまでブースデザインの重要性やポイントを解説してきました。
様々押さえるべきポイントがあるという話をしましたが、多くの方が最終的にはデザイン会社や施工会社へ発注をすることになると思います。
これらの会社とは上手に付き合わないと、「思っていたものと異なる」、「費用が想定よりもかかってしまった」等といったことが起きてしまいます。
費用については施工会社の商慣習的に、依頼を請けてから施工・撤去までにかかった総額を請求することが通例となっていますので、依頼時の金額に収まらないことも往々にしてあります。
※機材レンタル費や施工費は開催前支払いが一般的です。催事中含め、支払い後に新たに発生した分は開催後に支払いとなります。
しかしながら一般的な企業のマーケティング担当者からすると、それだと困ると思いますので、事前に費用について握っておくことをオススメします。
具体的には施工デザイン予算が200万円なのであれば、それを提示し、それを越えることは決してできない旨を伝えておきましょう。
そうすることでそれ前提に施工側で調整をしてもらうことができます。ただし、相場を大きく下回ることは物理的にできない領域なので相場を知ることも大切です。
木工で製作の場合の一般的な相場は1小間(3m×3m)あたり50万円となりますので、ここを基準とします。
また、施工会社にどこまでお願いをするのかを事前にすり合わせしておきましょう。
一般的には当日の施工と最終日の撤去までがセットになっていますが、例えば電気工事の申請やインターネット回線の手配、搬入・搬出時の車両申請、消防・保健所の申請等、展示会主催者から求められている各種申請は依頼主が行うことになっています。
このことを知らないと当日困ることが発生しますので、必ずどちらが行うのかを決め、すり合わせましょう。
当然ながら施工会社へ申請をすべてお願いする場合は別途費用がかかる場合があるので、事前の確認が必須となります。
施工会社選定にあたり、コンペ(公募)を実施する場合は条件や事前情報をまとめ、依頼をするようにしましょう。
目安としては3社程度となりますが、選定にあたって大事なのはビジネス感覚があり、依頼主の出展目的を理解し、それにあったアイデアやデザイン案を出して頂けるかです。
まれに業界相場よりも格安で出してくる会社もありますが、安かろう悪かろうなので選定する際は十分注意して選定しましょう。
ここまで展示会成功のためのポイントを解説してきました。
非常に多くのポイントをお伝えしましたが、展示会成功にはセオリーがあります。
セオリーを通りに取り組めばある程度の結果が出せるのも展示会です。
出展にかかる費用も安くない分、費用対効果を高めたいとお考えの方、初出展のサポートをしてほしい等ありましたらEvent Bundleへお気軽にお問い合わせください。
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