イベントにスポンサーがつくことは、イベントにかかる費用や物資の購入負担が軽減されるだけでなくスポンサーを通じてイベントの注目度が高まることや集客に繋がるといった広告効果もあります。
魅力的なイベントの開催実現に向けて、スポンサーを獲得したいところですが、スポンサーを獲得するのはハードルが高いのではないかと思う方もいるのではないでしょうか。
ここではイベントのスポンサーを探す際のポイントを、実例を交えながらご紹介します。
1.イベントのスポンサーとは?
一般的にスポンサーとは、催しや事業の支援を目的に資金などを提供することです。
イベントにおけるスポンサーとは、スポンサードする企業や団体が様々なメリットと引き換えに資金や物資を提供することを指します。
スポンサーと言うと大企業が対象となると思い浮かべるかもしれませんが、規模は関係なく小規模団体や個人も実際にスポンサーとしてイベントに参画しているケースがあります。
イベントにおいてのスポンサー表記は、そのまま「スポンサー」と用いる場合や「協賛」、「広告主」としている場合もあります。
協賛以外の団体表記について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
■関連記事:イベントなどの主催・共催・協賛・協力・後援の違いとは?
2.スポンサー企業のメリット
企業の協賛金は会社の経費として計上するわけですから、基本的には費用対効果が明確でなければ簡単に認められるものではありません。
では、スポンサーを検討する企業は、イベントに対してどのようなメリットを期待しているのでしょうか。以下に代表例をご紹介致します。
①認知度アップ
より多くの人に企業名や商品・サービスを知ってもらうために協賛します。
具体的にはイベントの公式ホームページへの掲載をはじめ、イベント会場内の横断幕、看板への社名ロゴ表記、イベント内での特別講演、PRブースの設置、サンプリングの配布、そのほかイベントの公式SNSアカウント内での紹介など、多岐に渡ります。
また、大きなイベントや知名度のあるイベントでは自社社員のエンゲージメントを高める施策として協賛を行う企業もあります。
日用雑貨メーカーのエステーはミュージカル「赤毛のアン」のオーディションから台本の読み合わせ、開演当日の客席誘導やチケットもぎり等の会場運営までイベントに自社社員が携わる機会を設けることで、社員の一体感を醸成しています。
②人脈・商談
企業はイベントを介した新規顧客開拓や商談・業務提携の獲得にも期待しています。
企業が普段アプローチできていない新規顧客へのアプローチや業務提携を含む人脈づくりをスポンサーになることで獲得し、ビジネスチャンスにつなげていくのです。
例えば新規顧客開拓においてはスポンサー企業として参加者リストを得たり、イベント内にてブースを出展することによる直接的な営業活動をすることが挙げられます。
また、スポンサー企業の既存顧客をイベントに招待できることも協賛のメリットとなります。
限られた人だけが体験できる特別な機会を既存顧客向けに設けることで、自社へのさらなる好感度アップやニーズの醸成につなげることができます。
一過性のイベントとは異なりますが、クレジットカードを発行するジェーシービーでは東京ディズニーリゾートにオフィシャルスポンサーとして参画することで、スポンサーラウンジを上級カード会員向けに提供しています。
他に、スポンサー同士のつながりもビジネスチャンスに活かせるケースがあります。
実際にスポンサー同士の横のつながりが新たなビジネスチャンスになった東洋シールの例をご紹介します。
セレッソ大阪のスポンサーであるシールやステッカーを製造する東洋シールは、新商品のフェイスペイントシールの販路を拡大したいという課題がありました。
それに対しセレッソ大阪は、セレッソ大阪を媒体に別のスポンサーを紹介しました。
その紹介をきっかけに、新たに東洋シールが制作したシールをそのスポンサーの冠試合で配布したところ、サポーターの間で認知度が上がったということです。
このシールは、たこパDAZNでのDAZNフェイスシールなど、試合以外の場面にも販路を拡大することに成功しました。
③社会貢献
CSR(企業の社会的責任)という言葉をご存じでしょうか。CSRとは企業が社会貢献の一環として行う社会貢献の活動です。目的はCSRの活動を通じて人々に信頼や安心、誠実といったイメージの形成、また、企業のさらなる発展です。
自社の商品・サービスをどのように製造・販売しているのか説明する説明責任や自然環境へのダメージを減らす環境保全等、活動は様々です。
清掃業務や外食産業等を展開するダスキンは、社会貢献の基本的な考え方として「企業であると同時に、その地域社会の一員であること」「喜びのタネをまこうというスローガンのもと、地域社会に貢献するために活動に取り組むこと」を掲げています。
そんなダスキンは、大阪マラソンの公式スポンサーとして2018年はスタート地点と給水ポイントで清掃活動の実施、2019年はスタート地点での清掃活動の実施とマラソンコースとランナー更衣エリアのゴミ箱を提供し、CSRの活動を実施しています。
自社のイベントへスポンサーを募る場合はこのような3つのポイントを意識し、どのポイントでメリットを打ち出せるかを検討することが重要です。
3.スポンサー企業の探し方・集め方
スポンサーを募る前にまず、イベントの企画を明確にします。
イベントの意義、イベント内容、参加者ターゲット、場所や規模、集客数目標(露出目標)、スポンサーのメリット、スポンサー金額は最低限提案書に盛り込みたいポイントです。
イベントの提案書の準備ができたら、スポンサー探しに取りかかりましょう。
スポンサーの見込みがある企業は、スポンサーへ提供できるメリットを軸にして探しましょう。
具体的には、以下の3点をメインに、企業のホームページやSNS、広告等といったところから探すと候補企業が挙がってくるはずです。
- 企業が狙うターゲットとイベントの参加者の人物像が近い
- 企業とイベントのコンセプトの親和性が高い
- 企業とイベントで使用する物のニーズが一致している
スポンサー企業探しは、過去のイベントから探すのも有効です。
協賛の前例がある企業は「(企業名) 協賛」とインターネットで検索したり、地域に密着したイベントの場合は「(市町村名) 協賛」と検索すると事例が出てくることが多いです。
また、自分たちが開催するイベントと類似のイベントは過去に協賛した企業の傾向や企業が求めるターゲット層やメリットの参考になります。
これらをもとに候補企業をリストアップしたら、実際に提案をしていきましょう。
見込みの高い、自社としても協賛してほしい候補企業への提案はアポイントメントを取って営業をするほうが効果的です。
逆に見込みが低い候補企業へはメールまたは郵送にて提案を致します。
4.スポンサー企業を探す時の注意点
これは何度もお伝えしていますが、スポンサーを探すときに特に意識していただきたいのが、スポンサーの視点に立ったメリットを訴求することです。
知名度アップについてメリットを感じて頂きたい候補企業に対しては、イベントの集客数はもとより、その企業が知名度をアップさせたいターゲットがイベントに来場するかを念頭に提案することが大事です。
どこに会社ロゴやサービスロゴが掲載されるのか、アナウンスされるのか等を事前に設計し、それぞれどのくらい露出(来場者が見る想定なのか)されるのかも提案書に記載しておくと効果的でしょう。
人脈・商談については、新たなビジネスチャンスになること強調しましょう。
具体的に来場者リストを○○名共有することや、各スポンサー企業へ「商品・サービスが気になる」とアンケート回答した方の引き合わせ等、イベントにスポンサーとして関わることによって自社の営業に繋がる面を打ち出しましょう。
また、スポンサー企業の交流で新たなビジネスが生まれたり、提携が進んだりすることがあります。
そのためには、闇雲にスポンサー企業を集めるのではなく、スポンサー企業同士の事業内容やターゲット層が似通っていることや親和性があるかを念頭に提案できると、なお良いでしょう。
また、イベント内の仕掛けとしてはスポンサー企業だけが参加できる懇親会等を設けるなどして、スポンサー企業同士がつながれる仕組みがあることを伝えても良いでしょう。
CSR(社会貢献)の観点では、企業のブランディングにつながる仕掛けや第三者への見え方について訴求すると良いでしょう。
イベントの公共性や社会的意義等を軸に、どのようにイベントを露出していくか、メッセージ性をどうするのかといった部分を伝えると賛同を得やすくなります。
CSRは長期的な目線において、スポンサー企業のさらなる発展やイメージの向上につながるかという点まで掘り下げて提案をしていくことが大切です。
ここまで3つのメリット別にお伝えしてきましたが、同一企業内でもどこの部署にアプローチするかによってメリットの感じ方が異なります。
例えば、企業のCSR観点でイベントを提案する際に、マーケティングの部署にアプローチしてもなかなかスポンサーとなって頂けないですが、広報やCSRを専門に扱う部署にアプローチすれば興味を持って頂けやすいといったことです。
企業の規模が大きくなればなるほど部署が別れていきますので、アプローチする企業の規模を考えて適切な部署へアプローチをしましょう。
今回は、スポンサーの探し方をご紹介しました。
企業がスポンサードする目的に応じてアプローチを変えることが、スポンサーの関心を引き、獲得につなげる有効な方法です。
イベントのスポンサーとなる企業との関係は、イベント期間中だけではありません。イベント終了後も続きます。
双方にとってメリットとなることを一緒に作り上げていこうという考え方が、良好な関係を継続していくうえで鍵となります。
スポンサー探しは、企業を理解し様々な角度から提案するという知識やスキルが必要になります。
スポンサー企業の規模にもよりますが、通常、下準備から承諾までは数か月はかかるため、短期間で獲得するには、効率的かつ迅速に進めていくことになります。
もし、イベントまで時間がないけれどスポンサーを獲得したい、スポンサーの数をもっと増やしたいといったスポンサー獲得に関するお悩みがある方は、一度Event Bundleにご相談ください。
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